■リトルピアニスト物語―――誕生まで
高い技術を誇るものづくりのまち・東大阪市で長年、金属製品製造に取り組む(株)三陽製作所。ある日、同社代表取締役・出向井修氏へ、ピアノ教室を主宰する娘から“お父さん、コレなんとかならへん?”とある器具が持ち込まれます。それはピアノ本体のペダルに足が届かない子どものための補助ペダル。2枚の鉄板に開けられた穴に専用ネジを留めて高さの調整をするタイプで、娘はその調整中に小さなネジを紛失し、子どもたちのレッスンに困っているというものでした。
出向井氏はネジを調達して元通りに使えるようにしましたが、よく見るとこの構造では今後もネジを無くしたり、手間もかかり、工具がないと調整ができないのも不便。自社の技術を活かせばもっと簡単に素早く高さ調整ができるんじゃないか、と娘や小さなピアニストたちのためにより使いやすい補助ペダルの製作を始めます。
社内のベテラン技術者たちと従来の製品の研究、改善、そして試作を何十回も繰り返し、誰にでも簡単に調整ができる補助ペダルに取り組みました。
複数の子どもたちにモニター協力をお願いし、試験使用を依頼。なかでも1日8時間のピアノ練習をする天才的と言われる6歳女児ももかちゃんからは、大のオトナがメゲるほどの何十ものダメ出しを受けました。半端ない練習量に壊れたり、踏み込みが良くない、ペダル感が悪いなど。ピアノ演奏なんて縁のなかった“工場のおっちゃん”たちは、その6歳女児の完全満足を目指して改良を重ね、調整を繰り返し、大量の試作品を作り、その結果どこにもない画期的なピアノ補助ペダルを完成させました。
“工場のおっちゃん”たちはももかちゃんの満足向上対策と同時に、わき上がる職人の底ヂカラとこだわりも抑えることなく、各所に見事な細工やギリギリまで追求した軽量化、ト音記号を添えるデザイン的あしらいなど、まさにクールジャパンな技もふんだんに込めました。
「リトルピアニスト」は娘の“困った!”を根本的に解決し、小さな演奏家たちのよりよいピアノ技術の向上につながればという“思いやり”から始まった、愛情あふれる製品なのです。
株式会社三陽製作所
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